犬や猫の感染症には様々な種類があり、複数の感染症に対応したワクチンを混合ワクチンと言います。ワクチンは、いつ接種するのかタイミングが大切です。 特に子犬、子猫の場合は母親から譲り受けた免疫(移行抗体)が残っているので、これが切れる生後2ヶ月以降を見はからって1ヶ月間隔で2回ワクチン注射をすることが重要です。 移行抗体が残っている場合や健康状態に問題のあるときには免疫がうまく獲得できませんので、獣医師とよくご相談ください。 ※混合ワクチンに狂犬病は含まれていません。 |
狂犬病予防法により、犬の飼い主には狂犬病ワクチン接種が義務づけられています。
生後91日以上の犬は毎年1回注射を受けなければなりません。
また、交付された注射済票を必ず犬につけておかなければなりません。
フィラリア症は蚊が媒介し、心臓や肺動脈に寄生する代表的な犬の寄生虫疾患です。フィラリアは、感染犬の血を吸った蚊の体内で2回脱皮して感染幼虫に成長します。吸血時に蚊の口吻に待機していた感染幼虫が、犬の体に入り込むことで感染します。犬の体内に入った感染幼虫は6~7か月かけて成虫になり、心臓の右心室や肺動脈に寄生します。
◎症状
咳が出る、元気、食欲の低下、痩せてくる、尿が赤くなる、散歩・運動を嫌がる、お腹が膨らんでくる。
◎予防
フィラリア予防薬とは、犬の体内に入ってしまったフィラリアの幼虫が心臓に寄生してしまう前に駆除するための駆虫薬です。当院ではHDUに基づき、約半年間、毎月1回、1か月間隔の予防薬を処方しています。途中の投薬、シーズン最後の投薬を忘れると感染してしまう危険性があるので注意しましょう。
※HDUとは、犬フィラリアを媒介する蚊の体内でフィラリア幼虫が成熟して感染幼虫になるために必要な積算温度の単位です。
HDUを算出することによって、犬フィラリア症が感染する期間を推定することができます。
{(最高気温+最低気温)/2}-14
を1日HDUとし(マイナスの時には0とする)、
1.春はそれを加算していって130を超えた時点
2.冬は最近30日間の合計HDUが130を切った時点
室内飼いでも感染地域を散歩するだけで感染します。暖かい時期は必ず予防を行いましょう。首の後ろに薬剤を滴下するスポットタイプや全身に噴射して使用するスプレータイプ、錠剤タイプといった各種予防薬があります。詳しくは獣医師にご相談ください。 ◎ノミ ノミは動物が出す二酸化炭素・体熱に反応し、飛びついて寄生する代表的な外部寄生虫です。ノミが犬・猫の体に寄生すると、瓜実状虫症(消化管内寄生虫)や強いかゆみを伴うノミアレルギー性皮膚炎を起こします。ノミは卵、幼虫、サナギの期間が長く、成虫は全体の5%程度でしかありません。犬・猫の体から成虫の姿が見られなくなったとしても、再び寄生することがないよう、犬・猫の体、そして飼育環境のノミの駆除を徹底的に行う必要があります。多頭飼育の場合には、必ず一緒に対策を行いましょう。 ◎マダニ 犬に多く寄生する一般的なダニです。マダニは草むらなどに潜み、近づいてきた動物の体にくっついて血を吸います。吸血前は1mm程度の大きさですが、血を吸うと体がぱんぱんにふくらんで黒いブルーベリーのようになります。口からセメントの様な物質を出してがっちりと皮膚をとらえているので、無理に引きちぎると口の部分が残って化膿してしまうことがあります。またマダニはかゆみを起こすだけでなく、複数の感染症を媒介します。特に犬バベジア症は犬の赤血球を破壊し、命にかかわる病気です。また人に被害を及ぼす感染症、重症熱性血小板減少症候群(SFTSウイルス)にも注意が必要です。ノミと同様、しっかりと駆除・予防を行いましょう。 |